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巖谷國士★講義 第4回「新★ぜみ」の報告

 

このたびは、いつもみなさまにお配りしている「感想カード」を(あまりに白熱した/熱のこもったご講義だったため)事務局側がうっかり回収しそこねてしまいました。

 

おそらく聴講されたみなさんが、本サイト内「ゲスト★Book」のほうへ第4回のご感想などをお書き込みくださいますことと思いますので、ブログの方には、新★ぜみのご報告にかえて、okjさんからの「概略」のみを掲載させていただきます。

 

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【概略】

 

台湾から帰国され、現代詩手帖5月号の台湾特集や映画「日曜日の散歩者」トークイベント、台湾国立美術館での「共時的星座」展を控えてらっしゃる★先生。今日は待望の「台南」とは何か? について講義していただきました。

台湾の面積、台北~台南の距離、中国や沖縄、東南アジア諸国との位置関係から地理的状況を客観的に見つめ、19万年前に人類がアフリカ大陸を出てからの移動ルートもたどります。
亜熱帯の紀行、地形、台風、大地震、皆既日食、多様な民族に言語、驚異の植物たち。

中国、台湾、日本の歴史的な関係も、「くに(郷)」と「国家」の違いを明確にして追い、ポルトガルやオランダが15世紀以降に台湾に入植した経緯や、最古の港町「南平」の情緒について語る★先生。

台湾に暮す人々にとっても、台南は特別な町で、古都ではなく現都だとおっしゃいます。
ノスタルジックな単なるモダン都市ではなく、かつての建築が今も使われ、モダンな広告やポスターが今も描かれる……Twitterにあげてくださった★先生撮影の写真を示しながら、「コラージュ都市」ともいえる思いがけないものたちが全部並列されて、全地球的な感覚が呼びおこされる、不思議な都市の「人格」が浮かびあがってきます。先生が次々に出会う自由な女性たち、どんどん品数の増える食事の、なんと魅力的なこと!


この風土で、1930年代の「風車」の詩人たちがどう呼吸し、作品にどうそれがあらわれたのかーーを、現地に感じたかった★先生。日本語教育の強制によって日本語でしか読み書きできなかった、彼らの悲劇を指摘します。

 

ポルティコの町、台南。それゆえ可能となる散歩。
散歩といっても、プロムヌール、フラヌール、パッサンの違いがあることを考察し、誤解されたシュルレアリスムや、ひるがえってシュルレアリスムの真実に迫りました。目を閉じて夢を見るのではなく、現実から出発すること。

2年前の映画「日曜日の散歩者」との出会いにはじまり、今回の台南をめぐる旅にいたった連鎖は、やはり最初から予感に満ちたものでした。すばらしいご講演で、わたしたちをこの旅へ一緒に連れだしてくださり、本当にありがとうございます!