巖谷國士★トークイベント「私の植物誌~シュルレアリスムの視点」@下北沢B&B

本日、PHP出版より、巖谷國士著『幻想植物園 花と木の話』がめでたく刊行いたしまして、それを記念して、この4月と5月に計4回にわたる出版記念講演会が、東京と京都で催されることになりました。

 

そして今日は、配本初日の記念講演であり、★先生がこのご著書ができるまでのことを、当時の担当編集者・丹所さんとともにお話しくださる機会となりました。

 

2010年1月からはじまった★先生の連載エッセー「花と樹の話 私の植物誌」は、3年間に毎月1話、36回までつづき、身近な花や木について、初めて聞くようなエキゾティックで不思議な花や木について……どれも★先生と植物との具体的なつきあいの歴史が綴られました。

 

900字というかぎられた字数のなか、一話ごとに閉じこめられた★先生の花と木との物語には、少年期のもの、友人や家族とのもの、旅での出会い、といった個人的な植物との思い出もあれば、メルヘン、神話、映画、マンガ、物語やフィクションなどから想起される逸話あり、博物学、エコロジー、ガーデニングやアロマテラピーの見地から語られる自然史のテーマもありました。

 

いずれの花も木も、★先生の目には「オブジェ(対象)」とうつるそうで、いずれの物語も、その対象が語りだした瞬間をとらえた(★先生のスナップショットみたいな)ものだと言います。

 

それゆえ、★先生の文章には「私」という一人称があまり登場しませんし、★先生は「私の植物誌」といいながら、植物から物語を聞きだすのがとくべつ上手なのかもしれません。

 

読者である私たちは、これらの物語に、なぜだか(とても広い)普遍的なノスタルジアを感じとり、ときに懐かしくて切ない思いを抱きます。

 

それは人類が昔いた世界、キリスト教のアダムとエヴァ同様、原始自然信仰、アニミズムにも共通する「森」の世界を思いおこすからでしょうか? すべての人の身体の奥に眠っている森の記憶が、★先生の文章によって目をさまし、私自身の植物との思い出に、アナロジカル(類推的、類似的)に重なるからでしょうか?

 

ほかにも★先生はこの本を作る過程を、アナログの連鎖と、ブリコラージュによるものだとお話しくださり、エッセーのときから、さらに1.5倍の増補と魅力的な挿図も多数ちりばめて、植物と自然からのメッセージをもりこんでくださったとのこと。

 

みなさんもぜひ本書『幻想植物園 花と木の話』をご一読のうえ、なかでもお好きな植物の項について、感想・その他、ゲストbookのほうへもお書きこみくださいますよう、よろしくお願いします!

 

そして『幻想植物園 花と木の話』の連続講演なども、お楽しみになさっていてくださいね!

(trois)