巖谷國士×齊藤綾子★対談:港区を舞台にした映画

「港区の文化と環境」パートⅢ、今年度最終回のテーマは映画でした。

 

港区を映画という視点から語る試みは、★先生だからこそ!

高輪で生まれ育ち、歩いては映画館へかよった映画少年★先生。この土地と映画が体験でむすびついていらっしゃるのです。

齋藤先生が用意してくださったレジュメには港区ゆかりの映画人がずらり。ほとんど女性でお嬢様学校出身の人が多いという特徴が!

それ以外にも★先生から出るわ出るわ俳優、女優、人間関係。あのエノケンも青山生まれの麻布十番育ちだったそうです。

 

都電の駅がたくさん載った昭和31年の高輪地区の地図を見ながら、戦争映画の出征も引揚も、ゴジラの上陸(!)も、品川駅がすべての入口だったことや、

港区にはテレビ各局や東京タワーなどがありメディアの中心地でもあったことなどが明らかになっていきます。

 

いよいよ港区が出てくる映画上映がはじまると、会場は興奮の嵐に!

『ゴジラ』ではゴジラの上陸~進行ルートが現実の港区の町にすべて対応してつくられていて、ミニチュア都市や電車のオブジェ感や撮影の臨場感たるやすばらしいものなのです。

八ッ山橋や、高輪消防署から出たと思われる消防車も登場。ビキニ環礁の水爆実験で怪物になってしまったゴジラ、「文明の最先端」の鉄塔や工場などをこわしていきます。

『モスラ』でも、芋虫モスラは爆撃されながらがんばってもこもこ溜池山王などを進み、東京タワーに繭をつくります。いいやつらなんです! 『モスラ』でザ・ピーナッツの歌う舞台装置などにはメルヘンの要素すらありました。『特急にっぽん』に登場する品川駅、新幹線こだま、日本食堂のビル、結婚するのかしないのかの男女、車内でおこるできごとという映画の醍醐味!

『クレージーの黄金作戦』では、うさんくさくてはちゃめちゃな坊主・国会議員・医師のクレージーキャッツの3人がたまりません! 自由で気持ちよくて苦しいほど笑いました。まさに高輪という風景から、日本最初のアメリカロケでロサンゼルスまで行ってしまう超大作です。『ゴー!ゴー!若大将』では首都高を加山雄三たちがフランス映画のように歩きまわり、

最後はタルコフスキーの『惑星ソラリス』にあらわれる「未来都市」としてのかっこわるい首都高を見る……というめくるめく時間に。

 

瞬時に反応される★先生の土地勘や、映画が原発事故ほかこんにちを予見していたことなどのアクチュアルな視点、クレージーキャッツ的な生き方、こんなふうに土地と直結して映画を見られるなんて、驚きと発見がおしよせるすごい体験でした。時間を忘れてのめりこみました、もっとこうやって映画を見たい! 続編希望です~~ ★先生、齋藤先生、本当にありがとうございました!(okj)